8月6日、日曜日。鍼灸院の院長で、統合医療専門クリニックで鍼灸治療と食養相談を担当する西下圭一先生の講座「未病を治す意識と、自己診断法」が開催されました。
この講座は、病院勤務の経験もある立場から、未病から病へと進行していく段階を解説しながら、東洋医学の診察法と、養生の基本から、姿勢・動きの正し方までが凝縮されています。第3回目のテーマは「自然な氣の流し方」でした。
講座の冒頭部分を抜き出して、ご紹介します。
今日は、8月6日、日曜日。季節は夏なんですけど、節気でいう土用から立秋に入ろうとしています。月でいうと8日が満月で、季節の変わり目であり、一カ月のスパンで言うと満たされた時期であり、このような時にこの日を迎えられたことを嬉しく思います。
土用とは季節の変わり目。次の季節のための準備期間。
土用というのは、精をつけるための期間です。体を休めて滋養強壮して弱った免疫力を高めておきましょう、という時期でした。ただし、これは江戸時代までの話なので、今は食べ過ぎですから、この時期にさらに食べたら体に負担がかかるので、むしろ食べないほうがいい。
ぼく自身、土用の時期、特に夏の土用は一週間に10食以内にします。一日3食とるとすると最大21食なので、その半分です。自分に課しているんです。ここ5年くらい。土用の時期に四日間くらい断食したこともあるし、意外とそのほうが調子よかったりします。精をつける、食べるばっかりが能じゃないということを覚えておいてください。
体を休めるという意識だけは持っているほうがいい。次の季節に移行しやすい。今日までが夏の体です。明日から秋の体です、とはならない。季節も突然変わることはないし、木の葉が突然落ちたり、蝉が突然ピタッと鳴き止むことはないわけです。
この土用の18日間に最大の変化があるわけです。その変化に対応するには、できるだけ身軽のほうがいいし、体を休ませたほうがいいわけです。
自然は間違わない。身の周りに目を向けると、秋のものが目についたり、夏のものが目につくことが減ってきたりしています。
(「家の近くの銀杏並木の葉が黄色く変色しているのを発見して驚いた」という参加者の声がありました)
今回のシリーズ最後は気の流し方です。
この講座でずっとやってきたことは、自分で自分を見つめて、前向きにしていくためのヒントなんです。なんのためにと言われると、桜沢如一のこの言葉です。
自由とは、自分のやりたいことをやりたいだけ、しかもそれをいつまでもやれる人間の行動につけられた名前である。
幸福とは、自分のやりたいことすべてをやりたいだけ思う存分いつまでもいつまでも何の道具も用いずやりとげる人間の精神である。(『道の原理』)
やりたいことをやりたいだけ、とことんやるためには、一番不可欠なのは健康なんですね。
今の人はお金と言うかもしれないけれど、健康な体さえあれば、お金を稼げるけれど、体が弱いままお金があっても、いつか底つきますから。何よりも健康が不可欠です。
〈西下先生からのコメントです〉
今回のシリーズでは「自己診断法」をテーマとして進めてきました。
人というのは、実は自分のことが最もわからないものです。
だからこそ、どこかで自分を見つめる時間を持ったほうがいい。
そのための、自己診断の仕方から、日々の姿勢の整え方、体の使い方から動きのつくり方、と、3回シリーズにわたって、陰陽の基礎とその解釈から話が拡がってきました。
陰陽を、食べ物とか料理だけのものと理解してしまっている人が多いと聞き、
とってももったいないという気がしました。
今回のシリーズに参加してくださった方々のなかから、陰陽を知ると幸せに近づくんですね、といった声なんかもいただき、講座をさせていただいて、本当によかったなと感じています。
〈参加者さんの声〉
・陰陽をより深く理解できただけでなく、体の使い方もよくわかり、日常が楽に過ごせるコツが理解できました。
・軸を持つことの素晴らしさを教えていただき、心が気持ちよく、自由になれた気がします。
〈事務局から〉
西下先生のお話しは、桜沢如一氏の言う「魔法のメガネ」を基本に展開されています。大切なことを平易に丁寧に語られるので、派手さはありません。
「考え方を分かっていただくということが大事なので、考え方を身に付けてほしいなといつも願っていることです」と本人はいつも言われています。
教えてもらうだけで満足、という方には、ちょっと難しく感じるかもしれません。
考え方を身に付ける講座として、初心者の方から指導者の方まで、幅広く来ていただけるような内容で、また企画したいと思っていますので、乞うご期待ください。