中国語や韓国語でも出版されている「半農半Xという生き方」の著者、塩見直紀さんをお招きして、講演とワークショップを実施しました。
「むすび」誌2003年3月号に塩見さんをインタビューした記事が掲載されたのがご縁の始まりで、以降連載の執筆、自然農の川口由一さんとの対談、塩見さんの住む街「綾部」を特集したことなどで親しくなることができました。そして、ようやく念願のセミナーが実現しました。
自給的な小さな農業で暮らしを成り立たせながら、それぞれのX(何か)を追い求めていく。Xにあてはまるのは「天職」「天命」や「使命」「ミッション」など。自己実現や社会貢献ととらえてもいいかもしれません。塩見さんは、半農半Xという生き方が、こころの問題と環境の問題という二つの大きな難問を解くカギになるという予感から、著書や講演などで発信し続けています。
「アイデアを出し合って、それが実現できるような世の中にしていきたい。自分のXだけ考えるのではなくて、活かし合う社会にしたい」という塩見さんのセミナーは、講演「半農半Xという生き方~みんなの天職(X)を活かし合う世界へ」と、「みんなのXでソーシャルデザイン!」のワークショップを織り交ぜながらのスタイルで進められました。
「大学四年くらいからいい言葉があるとノートに書き留めて「言葉貯金」と呼んでいるのですが、この貯金の残高が結構すごくて、ある時から独占したらいけない、シェアしようと思って、Facebookなどで毎日影響を受けた言葉を一つずつ紹介しています」
「世界を見ていると不透明でこの先どうかなという気がしています。インターネットのおかげで選択肢が増えている気がするかもしれないんですけど、ある方に言わせると選択肢は狭まっている。そんな中で可能性を感じるのは人との出会い。今日も桜沢先生のもと(正食協会)に来させていただけたということで大変嬉しいんですけど、桜沢先生は合気道の創始者植芝盛平さんと出会われた。また植芝さんは綾部の出口王仁三郎さんと出会っていくんですけど、いろんな出会いは素晴らしいものではないかなと思っています」
「皆さんいろんな仕事がある中で、いろんなものをかけ算すれば面白い時代が作れるんじゃないかなと思います。この30年私のテーマは、この時代どう生きるか、でした。28~29歳の頃に「半農半X」という言葉が生まれました。
半農半Xの最大の意味は、耕作放置地を解消したとか自給率が1%上がったということではなくて、方向性を提示したことではないかなと思います。こういう方向を生きたら、そう間違いではないと思っています」
「最近は島根県さんが政策に取り入れてくださって、「半農半X」を実践する人を応援するようになっています。北海道庁の方から電話がありました。北海道は広いので大型農業をしているイメージがあるんですけど、大きな農業だと、その人が倒れてしまうと、あとがなかなか大変かもしれませんけど、半農半Xの人も農の担い手として位置づけて、多様な担い手が支えるような時代にしていきたいという考え方に変わっていったようです」
講演の中で何度か行われたワークショップは4人の班に分かれて「自分資源発掘ミニワークシート」を使い、「自分の中のキーワードチェック」や「自分の型をつくる!」などに取り組み、自分のXと出会う手がかりを見つける時間となりました。
講演とワークショップを終えた参加者の方たちは、とても満足されていた様子でした。アンケートから少し紹介させていただきます。
今回来られなかった方もおられますので、またいつか塩見直紀さんをお招きして実現したいと思っています。
なお、このセミナーは「むすび」誌1月号で紹介させていただきます。