吉田さんが公務員の仕事を辞め、有機農業を始めて2年。
ようやく収穫する時がきたアスパラガスがモグラにやられてしまいました。そして、モグラ退治の専門家になられました(笑)
?講演の続きです。
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モグラが悪いのではなく、私が悪かっただけなんです。土を腐敗させたんです。
腐敗させているとモグラがきます。モグラはミミズを食べに来ているだけ。ミミズは低分子の有機物を食べるようになっているんです。
要するに腐ったもの。有機物が半分分解されて、腐敗した形でまだ有機物が残っている状態。それを食べているんです。
ミミズは臭いところ、または微生物のいないところに行きます。微生物の少ないところは、腐敗にいきやすいのです。
目の見えないモグラは匂いの臭いところに行くわけです。土が腐敗していると、ミミズがいなくても来ます。いろんなことがわかってきました。
世の中にいらないものは一切ないという感じになってきます。
キャベツは難しかった。一昨年まで虫を手で潰していました。
夜盗虫(よとうむし)というのがいます。夜になったら動くわけ。懐中電灯で見つけるわけです。昼間は土の下に隠れているからなかなか見つからない。
広いキャベツ畑の中で、二箇所だけキャベツが虫に食べられてボロボロになりました。ここだけに虫が来たの。なんで? 有機の畑ではよくある話です。
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科学的に推察をしてみます。
青虫は弱いキャベツを食べたいけれどないから、仕方なく元気なキャベツを食べる。
キャベツはそのキズを護るためにビタミンとか栄養素が集まってきて、人間でいうと“かさぶた”を作るわけ。
その分全体の栄養が少し減る。高分子の栄養が減ってくると、低分子の有機物しかいらない青虫は消化吸収がしやすくなるんです。
そして、キャベツはボロボロになるまで食べられてしまう。「虫さんありがとう」という気持ちになります。
講演はここまでです。
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マクロビオティックでは、一物全体のキーワードで、野菜の根や皮などを食べることを勧めていますが、
吉田俊道さんも「芯や皮を捨てるなんて、命の源を捨てるようなもの。もったいない!ぜひ工夫して、丸ごと食べましょう。キャベツの芯は生長点といって新しい生命を育むための材料が集まるので、葉以上に栄養たっぷり」と、
捨ててしまいがちな部分にミネラルやファイトケミカルなどの大切な栄養素が含まれていることを各地で話されています。
その講演を聞いた、1日に1万3千人分の給食を作る大阪府豊中市立走井学校給食センターの栄養士が動き、有機野菜に限り大根とニンジンを皮ごと調理するようになりました。
※合同講義の内容は、「むすび」11月号に特集記事として掲載されています。