? 昨年の12月2日、正食クッキングスクールの指導員・講師の方たちを対象にした研究会に、埼玉県在住の桜沢如一氏直弟子の斎藤武次さんをお呼びして、講演していただきました。
講演のテーマは「マクロビオティックの世界観とは何か」。桜沢氏の薫陶を直接受けた人たちの多くがお亡くなりになった今、斎藤さんのお話しはとても貴重なものとなりました。
斎藤さんは1935年に埼玉に生まれ、現在85歳。
17歳のときに恩師より贈られた『永遠の少年』(桜沢如一著)をきっかけにマクロビオティックの世界に触れることになりました。
「人間の不幸は本能のクモリにあるんだ」という、今までにない切り口に衝撃を受けました。
「宇宙の秩序」、「無双原理・易」、「パストゥールの審判」「バイキンの国探検」、「新食養療法」と桜沢氏の著書を読み進み、無双原理(魔法のメガネ)の面白さに夢中になります。
高校で解けなかった物理の問題を、陰陽の原理を応用したら簡単に解けたそうです。
体調を崩していたこともあり、試行錯誤しながら玄米正食を一年半実践。
食養の意味を分かってもらえない家族との戦いの末、やむなく「我が人生における第一の宣言」文を、書き残して19歳の夏に出奔! ?1954年(昭和29年)に代々木西原にあった桜沢氏の私塾「M・I(メゾン・イグノラムス)」(*注1)に入所しました。
台所の手伝い(大釜での玄米炊きなど)、食品と書籍の販売などを経て、念願だったM・Iの機関紙「世界政府」(*注2)新聞の編集を担当することになります。
桜沢氏の教育の仕方は問題の答えを暗記して答えたらOK、というやり方ではなかったそうです。
あくまでも自分で考える。
「考えるということは神還ることなんだ、と意味深な言葉を使っていました。自分で考えて答えなきゃだめだよ」と。
斎藤さんはM・Iで過ごした1年間の貴重な記録「メゾン・イグノラムス日記」を2015年に「知らなかった国よ」(文芸社)として出版しました。
当時、マクロビオティックの世界で活躍された方たちがたくさん実名で登場しますので、リアリティに溢れています。
講演の終盤、斎藤さんが学んだマクロビオティックの本質的な部分について語りました。
「脳はラジオの受信機。性能が悪いと正確な情報をキャッチ、そして発信ができない。
脳の性能を高めるには自分の体質を見きわめて、できるだけ身土不二に合った食べ物を摂ること」
「すると宇宙のオーダー(指令)というか、自然が教えてくれる方向性・判断を正確に受け取って正確に発信できるようになる。
脳をそのように理解するとマクロの本質的な物の見方というものが分かってくると思う」
「マクロビオティックの世界観とは、物事を発生学的に観るひとつのモノの見方。発生学的な元のもとを尋ねていくただ一つなる、それ以上説明のしようのない不思議な世界」
「マクロビオティックの世界観」については、間もなく発行される斎藤さんの新著で詳しく書かれています。
※斎藤武次さんの研究会ルポは、「むすび」3月号に掲載されています。
(次回に続く)
*注1 桜沢氏の私塾の名称で、「我知らず(自らの愚かさを意識した人間)の家」といった意味を持つ。語源はフランス語及びラテン語に由来する。
*注2 M・I時代に、無双原理の理論誌「コンパ」、食物療法・医学評論誌「サーナ」の月刊誌、新聞「世界政府(WG)」が初め旬刊で発行されていた。