【免疫力UP情報】
昨今、世間を騒がす新型コロナウイルス。
こちらのコーナーではコロナに負けない身体づくりのための情報を、
過去のむすび誌や正食出版発行書籍から抜粋してご紹介致します。
第5弾は「むすび誌2019年3月号」~「むすび誌2019年8月号」までの連載より「腸荒れはなぜ引き起こされるのか?(岡部賢二∥作)」の記事です(全6回)。
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画期的だった抗生物質 一方で腸内環境の悪化
腸荒れが引き起こされる原因の一つに「抗生剤」があります。
「抗生物質」はウイルスや細菌を殺したり増殖を防ぐ薬剤です。同様の働きをなず薬剤で「抗菌剤」と呼ばれるものもありますが、天然由来の物質から成分を取り出したものが抗生物質、化学的に合成したものが抗菌剤で、両方合わせて抗生剤と呼びます。
青カビの作るペニシリンという抗生物質のおかげで肺炎や化膿菌による病気が減り、現代医療は飛躍的に発展したと言われていますが、一方で弊害も出ています。
抗生物質の間違った使い方や過度の使用による副作用です。
抗生物質を安易に摂取することで、お花畑であった腸内細菌叢のバランスが崩れ、有用細菌が死滅して焼野原状態となります。
その結果、ぺんぺん草しか生えない劣悪な環境になり、さまざまな不調を作りだすのです。
代表的な症状が皮膚の発疹、下痢、口内炎、肝障害、白血球や血小板の減少、アナフィラキシーショックなどです。
医薬品より畜産で大量投与されている
腸は体内で最大の免疫機関といわれていて、抗生剤による腸内環境の悪化は免疫力の低下や異常につながります。リーキーガット症候群のような腸荒れの原因も、近年増加している自己免疫疾患の増加も、抗生剤がかかわっているとみて間違いないでしょう。
したがって、最近では副作用緩和のために、抗生物質耐性の乳酸菌または酪酸菌などの製剤が投与されています。
実は、抗生物質は医薬品として使用されるよりも、畜産に用いられる方がはるかに多く、全体の3分の2を占めています。
なぜなら家畜は、日当たりが悪く、密飼いされるなど劣悪な環境で飼育されることが多いので、感染症予防のために大量の抗生剤が投与されるからです。
一時、鳥インフルエンザや豚インフルエンザ、狂牛病が大問題となりましたが、そうした感染症から動物たちを守るために抗生剤が必要なのです。
できるだけ避けたい薬剤
ところが、餌に混ぜられた大量の抗生剤によって、家畜の体内で薬剤耐性菌が繁殖し、それによる食肉の汚染が問題となっています。
日本では、この薬剤耐性菌により、毎年8000人くらいが死亡していると言われ、実際に国産鶏肉の69%から抗生物質が全く効かない耐性菌が検出されています。
鶏肉だけでなく、牛肉や豚肉、養殖の魚も注意が必要です。
がんの方の腸にはカンジダ菌がはびこっている場合が多く、共通して腸内環境の悪化がみられます。もしかしたら、がん患者激増の背景には、こうした薬剤による影響があるのではないでしょうか。
まずは、食物を購入する際に、防腐剤や保存料を含む食べ物、薬剤が大量に使用されている安い肉や蓄肉加工品を避けることです。そして、食品の裏書き表示を見ながら伝統製法の調味料や食材を選ぶように心がけてください。
梅干しや梅酢は天然の抗生物質
天然の副作用のない抗生物質的な働きをする食べ物としては、梅干しや梅酢があります。
これらに含まれる塩分や有機酸には防腐、殺菌、保存、抗生作用があり、塩分に含まれるマグネシウムなどのミネラルは、発酵促進作用や保温作用、神経伝達作用といった有用な働きも併せ持っています。
そのため、伝統製法で作られた梅製品は、悪玉細菌を瞬時に死滅させますが、善玉細菌は活性化するという優れものです。
そして、この梅干しや梅酢と同じような抗菌作用を持っているのが麹です。
麹菌はカビの一種で、発酵によってさまざまなビタミンやアミノ酸、酵素を生み出すことが分かっています。そして、嫌気性菌と好気性菌が共生する特殊な発酵過程(複合発酵)を経ることにより、乳酸菌や酪酸菌といったさまざまな菌を作り出します。
発酵食品で腸を守る
腸内には、酸素の好きな好気性菌と水素が好きな嫌気性菌が共存していて、嫌気性菌は人体に必要な栄養素を作り出すのに対し、好気性菌は天然の抗生物質を生み出し、腸内を健康に保ってくれます。
これら二つの菌が共生するためには、腸内に十分な酸素と水素(マイナス水素電子)がたっぷりと供給されることが必要です。
麹菌は、複合発酵によって、両方の菌に必要な成分の供給をし、腸内環境を最善な状態にしてくれます。
麹を用いて作られた伝統製法の味噌や醤油、酢、みりん、塩麹、もろみといった発酵食品を料理に用いることで、抗生剤の害から腸を守りましょう。
ごはんにみそ汁、梅干しと漬物中心の和食を心がけていれば、腸内環境を健やかに保つことができます。まずは、日々の食事の見直し、医薬品に頼る生活の改善をしていきましょう。