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【免疫力UP情報】食改善し体温アップ①

【免疫力UP情報】
昨今、世間を騒がす新型コロナウイルス。
こちらのコーナーではコロナに負けない身体づくりのための情報を、
過去のむすび誌や正食出版発行書籍から抜粋してご紹介致します。
第9弾は「むすび誌2019年5月号」より第13回食育情報交換会のレポートです(全2回)。
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低体温が多かった小学生

 会では、香川県三豊市教育委員会学校教諭課を務める山下昌茂さんが、同市の仁尾小学校の校長時代に取り組んだ活動が注目されました。
 山下さんは赴任した平成23年当時を振り返り、「病気欠席が多い」と感じたといいます。
 調べてみると、122日に始まったインフルエンザによる欠席が翌年の6月まで続き、収束に7か月以上もかかりました。
 約300人の全校児童で、出席停止は延べ764人(実数251人)でした。
 「なぜこんなにからだが弱いのか」と思った山下さんは、「低体温が原因では」と直感したといいます。
 そこで実際に児童の体温を測定してみると、36.5度以上の子供が24%しかいないことがわかりました。
 一般に子どもは平熱が高く、37度とされているようですが、4人に3人もが36.5度もなかったのです。

早朝マラソンと8時間睡眠

 体温が1度下がると免疫力は30%低下するといわれます。
 「若いときは、自分で決めた目標が達成できなかったら、給料を校長に返しに行っていました」という熱血漢の山下さんは、「子どもを変えるのは現場の教員」という強い責任感の下、低体温解消のために全校で三つの対策に取り組みました。
 一つは運動によって筋肉量を増やす。
 登校してきた子どもたちに、運動場を三周走らせました。「早朝マラソンは」発達障害の症状を緩和する効果もあるそうです。
 次に、8時間の睡眠時間の確保。
 「『9時に寝なさい』と言っても守れるはずがない。守れない目標を出していくと、子どもたちは『目標は守らなくていい』となるので、『何時に寝てもいいけど、合計でこれだけは寝ようね』と言いました」
 そして最後は、充実した朝食を摂る。

低学年は自作おにぎり弁当

 児童の約70%が朝食に菓子パンを食べていました。
 保護者に聞くと「ちゃんとつくっている」という答えでしたが、子どもたちはギリギリまで寝ているので、無理やり起こされて座った食卓では、テレビを見ながらパンを食べ、すぐに出かける時間が来ると、パンを口に押し込んでジュースで流し込む―という実態が浮かび上がってきました。
 そこで子どもたちに、適切な量とバランスのとれた食事を教えるために、家から持ってきた弁当箱に給食を詰めさせる学習をして、保護者にも啓発しました。
 竹下さんが提唱する、子どもだけで、献立づくりや食材の買い出し、調理、弁当詰め、片付けまでする「弁当の日」の取り組みも行ったほか、弁当づくりの難しい低学年は、米飯給食のときに、中に入れる具を工夫しながらおにぎりをつくるという「自作おにぎり弁当の日」に挑戦しました。
 三つの対策に励んだ結果、一年間で体温が36.5度以上の子どもが24%から三倍近くも増えて68%と半数を超え、インフルエンザにかかった実人数が251人から約5分の151人に激減しました。



化学調味料やめ天然素材に

 一方、隣接している給食センターの協力を得て、さらに学校給食の改善にも取り組みました。
 NPO法人・大地といのちの会理事長の吉田俊道さんは、料理のときに捨ててしまいがちな野菜の皮や芯、成長点こそがミネラルやビタミンの宝庫と説き、この日の会でも講演しましたが、センターの栄養士や職員らを連れて、地元で開かれた吉田さんの講演会に参加した山下さんは、まず給食の調味料を変えることを思いつきました。
 具体的には、化学調味料をやめ、ミネラル豊富な九州のアゴ(トビウオ)と地元のイリコ、昆布、シイタケの粉末を混合した「元気だし」を中心に使用することにしました。小魚を粉末にすることで、丸ごと使った材料になりました。
 使い始める前には吉田さんを学校に招き、食についての親子勉強会を開きました。
 ある女子中学生から「汁の中にジャリが入ってる」という苦情が寄せられたときには、栄養士が説明にあたりました。
 それまでは、イリコだしをとったあとはイリコを取り除くという作業が必要でしたが、粉末にして入れればそれで終わりなので、手間の削減にもつながりました。

最初のひと口は百回噛みで

 子どもたちの食べ方も次のように見直しました。
 ・最初に「いのちをいただきます」とあいさつをす
 ・まず牛乳をひと口だけ飲んで、栓をする
 ・野菜を口に入れて箸を置き、100回噛む
 ・あとは30回噛むことを守って食べる
 
 「野菜を先に食べるのは、血糖値の上昇を抑えるなどのため」と山下さん。
 100回も噛むのは大人でも大変ですが、1年生には「あ・り・が・と・う・ご・ざ・い・ま・す」を10回唱えるようにというコツを示したそうです。
 最初に100回噛むと、あとの30回がたやすくできるようになります。
 職員からは「100回も噛ませていたら、給食時間が伸びそう」「食べ残しが増えるのでは」と心配する声がありましたが、結果的には給食時間が7分縮小して休み時間が増え、食べ残しはほとんどありませんでした。
 また、子どもたちに食べることの楽しさを知ってもらい、食への意識を高めてもらおうと、「食レポ」をさせる学習にも取り組みました。
 どんな味なのか、どうやって調理したのか、調味料は何か、食べものの旬はいつかなど、感性や表現力を育てるためにも、見えない感覚を言葉で伝える訓練を重ねました。

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*主な発表者
山下昌茂(やました・まさしげ)
三豊市教育委員会事務局学校教育課課長平成20年三豊市立上高野小学校校長となり、
その後、児童の体温正常化をめざした食育に注力し、平成25年に文部科学大臣賞の表彰を受けた。
専門は算数教育、付属坂出小学校教官・県教委主任指導主事、香川県算数部会会長、三豊、観音寺地区小学校教育研究会会長を歴任。

吉田俊道(よしだ・としみち)
NPO法人大地といのちの会理事長。菌ちゃんふぁーむ園主。1959年、長崎市生まれ。
九州大学農学部大学院修士課程修了後、長崎県庁の農業改良普及員に。
1996年、県庁を退職し、有機農家として新規参入。
1999年、佐世保市を拠点に「大地といのちの会」を結成し、九州を拠点に生ごみリサイクル元気野菜づくりと元気人間づくりの旋風を巻き起こしている。
2007年、同会が総務大臣表彰(地域振興部門)を受賞。2009年、食育推進ボランティア表彰(内閣府特命担当大臣表彰)
  • 2020年09月17日 17時00分更新
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