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【免疫力UP情報】健康長寿の食習慣のために⑤

【免疫力UP情報】
昨今、世間を騒がす新型コロナウイルス。
こちらのコーナーではコロナに負けない身体づくりのための情報を、
過去のむすび誌や正食出版発行書籍から抜粋してご紹介致します。
第16弾は「むすび誌2017年7月号」より渡邊昌氏の講演のハイライト記事です(全5回)。
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糖質制限で高タンパク食はからだの負担を大きくする

 三大栄養素をどんな割合で摂るのがいいのか、アメリカで臨床試験が行われました。
 糖質:脂肪:タンパク質の割合を、低脂肪の「6:2:2」と「4:4:2」、そして超糖質制限にあたる「1:6:3」という3群で調べたところ、超糖質制限では尿中コレステロールや、悪玉コレステロールとも呼ばれるLDLコレステロール、炎症の指標となるCRPがいずれも有意に高くなっていました。高タンパク食による代謝への負荷を示すものです。
 「高タンパク食というのはいかにからだに負荷をかけ、からだのあちらこちらを、錆びつかせる状態にしているかということがわかります」
 渡邊さんは、腎臓が悪くなりかかっている糖尿病の人に、肉で摂っていたタンパク質のうちの半分を大豆タンパクに置き換えた試験の結果も示しました。
 それによると、4年後には、肉をそのまま食べ続けた人は空腹時血糖値が130から140に上昇し、トータルコレステロールやLDLコレステロールもアップ、BUN(血中尿素窒素)も上がって腎臓の機能低下が心配されました。タンパク尿や炎症マーカーも増えていました。
 一方、肉を半分控えた人たちは、空腹時血糖値をはじめとした指標となる数値がすべて改善したことが認められました。
 実は渡邊さんは昨年5月から約半年間、糖質制限のケトン食を体験してみました。MECという、肉・卵・チーズ中心の食事です。1日にそれぞれ100グラムずつと、エゴマ油や米ぬか油を90㏄摂るという食生活です。
 「とても太った人の妊娠糖尿病などにはかなり有効」と思いましたが、実践するのは大変で、あちこちの筋膜の痛みを覚えたそうです。

玄米と味噌汁と野菜だけで多くのミネラルがまかなえる

 最後は玄米について。
 「玄米というのは調べれば調べるほど、神が与えてくれた、こんなものがあるかと思うくらいにいい食べものです」
 宮沢賢治の詩を参考に、玄米と具だくさんの味噌汁、少しの野菜で食事をつくって調べると、たくさんのミネラルがちゃんとまかなえました。
 「ビタミンKはあまりないのですが、玄米は食物繊維が多いので、腸内細菌がとても元気になってビタミンKをつくってくれます」
 健康長寿を目ざす食事については、次のようにアドバイスしました。
 「必要な熱源は糖質と脂質で、体重×0・4単位(1単位は80キロカロリー)、タンパク質は体重×0・8グラム。野菜と果物は350グラムぐらい。副食は『まごわやさしい』食で、豆・ごま・わかめ(海藻)・野菜・魚・しいたけ(きのこ類)・いも類。一汁一副菜のパターンを基本食とします」
 講義後、玄米食で問題視されることのあるアブシジン酸に関連して、「玄米を浸水した水を捨てた方がいいのか、炊き上げて変化させていただいた方がいいのか」という質問がありました。
 渡邊さんは「回答を一言で言えば、一物全体食が正しい」と即答しました。
 さらに「アブシジン酸は、発芽を抑えて穀粒をつくる植物ホルモン。だから米だけではなく、麦でも何でも穀物はみんなアブシジン酸をもっています」と解説したあとで、それぞれの食べものの命が最適になるようにすべてができている中では、一つの特定の物質だけを取り出して議論することの是非について疑問を呈しました。

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渡邊昌(わたなべ・しょう)
1941年、平壌生まれ。医学博士。慶應義塾大学医学部卒。同大学院病理学専攻、アメリカ国立癌研究所、国立がんセンター病理部を経て、同疫学部長。その後、東京農業大学教授、国立健康・栄養研究所理事長を歴任し、現在は、公益社団法人生命科学振興会理事長として専門誌「ライフサイエンス」「医と食」を主宰。一般社団法人統合医療学院学院長、NPO法人日本綜合医学会会長も務める。これまでに厚生科学審議会、内閣府食育推進評価専門委員会座長など政府の各種審議会委員を歴任。
  • 2021年03月05日 12時32分更新
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