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【免疫力UP情報】子どもたちの脳とからだをつくる③

【免疫力UP情報】
昨今、世間を騒がす新型コロナウイルス。
こちらのコーナーではコロナに負けない身体づくりのための情報を、
過去のむすび誌や正食出版発行書籍から抜粋してご紹介致します。
第18弾は「むすび誌2017年2月号」より小崎孝子氏のインタビューをご紹介します。(全6回)。
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医師や大学の力を得て調査 理想的な日本型食生活と証明
 伝統和食の良さを確信した小崎さんは、そのことを客観的に裏づけてもらうために、当時下関市立中央病院小児科部長だった永田良隆氏と福岡女子大学の協力を得て、共同研究を始めました。
 永田氏は、「油を断てばアトピーはここまで治る」などの著書で知られ、アトピー治療で多くの実績があります。
 その結果、ふたば幼稚園の給食は、たんぱく質と脂質、炭水化物の摂取量の割合(PFCバランス)がそれぞれ1604%、1834%、6562%と、脂質がやや低いものの、理想とされる1975年頃の日本型食生活のPFCバランス(15%、25%、60%)に近いことがわかりました。
 さらに、永田氏が提唱する1965年頃の食事内容のPFCバランス(15%、15%、70%)に近く、「日本人のからだにとってもいい給食だということがわかりました」と小崎さん。

よく噛んでだ液をたっぷりと 発酵食品は天然の抗生物質
 食についていえば、よく噛んでだ液をたっぷり出すことも訴えました。
 「今の子どもは、よだれをくらない(垂らさない)ですね。そして、無菌、抗菌と、ばい菌から子どもを守ることばっかり。しかも軟らかいものばっかりで、咀嚼機能が全然成り立ってません。噛むことによってだ液の分泌量が高まります。だ液には抗菌作用があるんですよ」
 さらに、風邪などで病院に行き、抗生物質を投与されて「抗生物質のはしご」を続けていると、免疫力がどんどん低下してしまうことがあると指摘しました。
 「梅干しや味噌、糠床、納豆といった発酵食品が天然の抗生物質なのに、薬にばかり頼ってると、子どもたちは少々薬を飲ませても、そのうち効かなくなってしまいます」
 また、子どもたちに深刻な問題として、「口がバーっと開いて、鼻呼吸ができない。すぐに(口から)ばい菌が入ってしまいます」とも話しました。
 鼻呼吸をするためには、小崎さんが言うように、「口をつぐんだときに、舌が上あごの裏にぴたっとくっつくのが正常」です。「舌がどろーんと下に落ちてるのは、もう健康被害が及んできてます」。
 舌をしっかりと上げるための工夫の一つとしては、「子どもたちに硬いものを噛ませる」ということでした。
 「最低三〇回、できることなら五〇回」噛んでいると、「こめかみが動いて、子どもたちの脳の前頭前野に刺激が送られて、脳の発達につながっていく」のです。
 まさに小崎さんの言うように、「脳は食からもつくられます」。
 そのほか、幼稚園では、子どもたちが漬けたたくあんを卒園記念にしたり、給食室からわずかに出る野菜くずなどは堆肥にしています。
 「食育と農業と環境と命、これはつながったものであるという、循環型の教育をしています」と、小崎さんは胸を張ります。実際、そうした取り組みや地域での清掃活動が評価され、福岡市や福岡県、環境省から表彰されました。

食事調査票を提出してもらい大学で家庭の食生活を採点
 食育については、家庭も巻き込んだ活動がユニークです。
 給食は月・水・金曜の週三回だけなので、それ以外の火・木曜はお弁当です。
 お弁当があると、天気のいい日などはたっぷり外遊びができます。子どもたちに、お弁当をとおして、お母さんの愛情を感じてほしいという願いも込められています。
 さらに保護者には、弁当づくりだけでなく、朝夕に子どもたちがどんなものを食べているか、写真付きで報告する「食事調査票」を提出してもらっています。
 メニューだけでなく、主な食材も記入しなくてはならず、けっこう手間がかかりますが、提出率はなんと一〇〇%です。
 そして、その調査票を福岡女子大学の研究室に送ると、「主食・主菜・副菜がそろっていること」「一日で野菜が六種類以上あること」「揚げ物が週三回未満であること」などの基準で採点された結果が返ってきます。
 小崎さんによると、一〇〇点満点で、「いくら成績が悪くても六五点ぐらい」ということで、「私が口やかましく食事のことを言うので、お母さん方はきちんとして下さいます。モンスターなんて一人もいらっしゃらないです。日本一のご父兄です」とニッコリ。
 「一日三食いただくと、一年間で一〇九五食。幼稚園で食べるのは、そのうちのわずか二〇〇食にも満たないんです。あとの残りの九〇〇食はご家庭なんです。だから、お母さん方を取り込まないと、真の食育にはつながっていかないわけです。お母さん方をこっちに向かせるためにも、大学の力が必要でした」
 福岡女子大学と協力した取り組みは、今年度で十一年目になりました。

自身や職員、保護者なども福岡の教室で正食料理を学ぶ
 園児のお母さんたちには、梅干しづくりや料理教室を定期開催して、幼稚園の伝統和食を実際に味わってもらい、伝えています。
 また、伝統的な和食を見直そうと、北九州市にあるクッキングスタジオを拠点に活動している料理研究家の高畑康子さんを招いた講演会などでも、啓発に努めています。
 小崎さん自身もほかの職員とともに、以前、正食協会が福岡に開設していた正食クッキングスクール福岡校に通い、上級コースまで修了しました。
 現在、給食室にいる調理員のうちの二人も、福岡県久留米市にある正食クッキングスクールネットワーク教室の一つ、正食料理蔵肆教室に学んだほか、四世帯の保護者たちも同じように同教室に通うなど、家庭でも理解が深まっているようです。
 調味料や食材の多くも、同教室のある自然食品店「産直や蔵肆」から仕入れています。

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小崎孝子(こさき・たかこ)
1947年福岡県福岡市志賀島生まれ。近畿大学九州短期大学保育科卒業。学校法人、ふたば幼稚園理事長。志賀島保育園園長。平成9年に有害紫外線対策の“サン・カット帽子”をオーストラリアから取り寄せ、いち早く導入し環境省のマニュアルに掲載される。平成12年より伝統和食を基本とした「真の食育」活動に取り組むなど、子どものための保育を追及。平成18年度より福岡女子大学や下関市立市民病院の小児科医らとともに「子どもの食育を考える会」を立ち上げ、家庭における食事調査・健康調査・生活調査などを通して和食効果を研究。平成27年度から広島大学大学院教育学科の七木田敦教授らとともに『遊びの保育を通した子供の運動力』についての共同研究を開始。平成16年農林水産省による「地域に根差した食育コンクール」での特別賞受賞を皮切りに、食育、農業、環境教育関係など数々の賞を受賞。日本の伝統食を給食に取り入れ、子どもの自由を保障した遊びつくす保育を徹底することで、発達障害、自閉症、アトピーの子らを改善に導き、「奇跡の幼稚園」として、テレビ、新聞、雑誌などで多数取り上げられる。子どもの健やかな育ちのための「食育と遊び」について、全国各地で講演会を行っている。
  • 2021年04月22日 14時48分更新
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