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【免疫力UP情報】危機的な状況から和食の復活を⑤

【免疫力UP情報】
過去のむすび誌や正食出版発行書籍から抜粋してご紹介致します。
第25弾は「むすび誌2015年9月号」より食育シンポジウム「豊かな食卓 和食を未来へ」をご紹介します。(全5回)。
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子が帰宅しなくなるセルフ食 食経験狭める 「何食べたい ?」
 食による家族のきずなの再生に関連して、岩村さんは「とても気になっている」こととして、「セルフ食」の話題を取り上げました。
 「セルフ=自給自足」食ということで、親が子どもに対し、「自分で好きなものを買って来て、自分で用意させる」食事のことです。
 そういう家庭に育った子どもは、大きくなるに従い、外食をしたり、友人宅に泊まってそのままごはんを食べて帰って来ないなど、「きょうも泊まり、またきょうも泊まりということが大変増える」ということでした。
 逆にお母さんが料理の腕を振るい、「うちへ帰るとごはんがある」というのは、子どもが大きくなっても、家庭に対する子どもの求心性を維持できる「すごく大きなポイント」と岩村さん。
 さらに岩村さんは、「何食べたい?」と聞いて、子どもが答えたものを食卓に並べるという習慣は「いい加減やめた方がいいかと思います」とアドバイスしました。
 岩村さんによると、「子どもは食べたことがないものは決して言わない」そうです。子どもの言うままに、ラーメンや焼きそば、チャーハンと繰り返すだけでは、食経験が乏しいままになってしまいます。
 「お母さんたちは、子どもに押しつけないということをとても大事にします。押しつけるというかどうかわかりませんが、『これおいしいよ、ちょっと食べてごらん』と言ってみることによって(食経験が)広がります。広げてあげるのもお母さんの力。ぜひいい意味で押しつけていただいて、食経験を広げて、味覚経験を豊かにしてほしい」
 熊倉さんは、「最高の料理は家の料理」という、美食家としても有名な北大路魯山人の言葉を引用して、食事のときには「おいしいね」とひとこと言うことが、「家庭の食事では大事な作法」として、日常の家の食卓でも「おいしいね」と口にしましょうと呼びかけました。

簡単レシピの代表おにぎらず 腹持ちがよく男性にも人気
 また、最近の料理の傾向として、「すぐにつくれる簡単なもの」が好まれています。
 クックパッドで一番よく検索される言葉は「簡単」。「簡単」にできると大ヒットになったのが「おにぎらず」です。
 ごはんをにぎる「おにぎり」に対して、広げたのりにごはんや具をのせて包むだけという手軽さやネーミングの面白さが受けて、ブームを呼びました。
 もともとはマンガの「クッキングパパ」でもう二〇年以上も前に紹介されていましたが、昨秋にクックパッドで登場してまたたく間に広がりました。
 草深さんは「中に卵焼きなどいろんなものをはさんだりして、サンドイッチ感覚で食べられるということで、大ヒットしています。実はみんなごはんが食べたかったんだと思いました。男性陣の受けがすごくよくて、やっぱり腹持ちがいいんだと思います」
 岩村さんの調査でも、今年に入っておにぎらずをよく見るようになったそうです。岩村さんによると「食事は主食とおかずが合体化する法則がある」そうで、まさにおにぎらずはその典型です。
 「ごはんはいつかはそうなると五年くらい前から言い続けていたので、(おにぎらずを見て)『出たな』と思いました」

家庭料理と豪華な日本料理 ごっちゃになったことも問題
 おにぎらずについて料理研究家の後藤さんは、「本来のおむすびを食べていただいていたらけっこうだと思いますが、おにぎらずだけで人生がすんでしまうとさみしい」と感想を話しました。
 後藤さんの母親の千澄子さんは、茶懐石料理研究家の第一人者として知られました。
 「母が教えていた時代は、豪華な料理をつくると喜ばれました。日本料理というと、料亭の料理が和食と思われたらしいですが、家庭料理と料亭の料理は全然別もの。そこがむちゃくちゃになってしまったことが、和食の崩壊につながったのでは」
 さらに自身の体験として、「おだしがあれば日本料理は七割は完成と思っていますが、おだしを使わないでどうしたら簡単にできるかとよく聞かれます。その質問がいちばん困ります。習慣にしていけば大変なことではなく、おだしがあれば簡単というのをこれからはっきり言っていこうかと思っています」と話しました。

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  • 2022年05月13日 09時11分更新
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