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【免疫力UP情報】お口から考える食育①

【免疫力UP情報】
過去のむすび誌や正食出版発行書籍から抜粋してご紹介致します。
第26弾は「むすび誌2016年10月号」よりお口から考える食育の記事をご紹介します。(全10回)。
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子どもの口は社会や家庭環境を映す鏡

虫歯が多い少年院の子どもら
 ある一八歳の少年の歯の話です。
 かなりひどい虫歯で、奥歯は根っこしか残っていません。上の前歯は歯の間に虫歯があり、まともに噛める状態ではありません。
 これほど虫歯の多い歯は、現在では珍しく、「今どきこんな子はまずいません」と岡崎さん。でも、「日本のある場所に行くと、こういう写真が山ほど撮れます」というのです。
 正解は少年院。それも「凶悪犯罪を犯してきた子どもたちに、ものすごく多い」そうです。
 岡崎さんは「収容されている子どもたちをどう更生させるか、歯科医として話をしてほしい」と求められ、一〇年ほど前から少年院を訪れるようになりました。
 そうして少年院に通ううち、かなりひどい虫歯の子たちが少なくないことがわかりました。
 「以前は、凶悪犯罪を犯して少年院に入るぐらいの子どもたちだから、こういう口をしているんだと理解していました。でも、だんだんと『ほんとかな』という気になってきました」
 永久歯が生えて以降にひどい虫歯になったのではなくて、「乳歯のときによほどひどい虫歯をしていなかったら、絶対にこうはならない」と気づいたからです。

ネグレクトで虫歯が20倍にも
 永久歯の虫歯や歯周病の予防は、本人の自覚によるところが大きいといえますが、乳歯の虫歯は、岡崎さんが言うように、「家でお母さんがちょっと甘いものを控えてあげる、ちょっと歯を磨いてあげる」だけで、十分に予防できます。
 ということは、こうした少年の場合、保護者がそうした適切な配慮をしてこなかったことが、容易に想像できます。
 岡崎さんも同じように考えた結果、「この子の非行の本当の原因は、この子自身というよりも、家庭での小さいときの養育環境にあるのではという気がしてならない」と思うようになりました。
 それを証明するデータを岡崎さんは示しました。
 下のグラフは、2?4歳、5?9歳、10?14歳、15?19歳の年齢別で、一人にどれだけの未処置歯(治療していない虫歯)があるか、一般家庭の子ども、虐待を受けた子ども、ネグレクト(育児放棄)を受けた子どものグループで調査をした結果の平均をまとめたものです。奈良県歯科医師会が四年前に調査をしました。
 例えば、5?9歳でみると、一般家庭の子どもは未治療の虫歯は0・3本しかありませんが、虐待を受けた子どもは3本と10倍にもなります。さらに、ネグレクト(育児放棄)を受けた子どもは20倍の6本です。


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岡崎好秀(おかざき・よしひで)
1952年大阪生まれ。愛知学院大学歯学部卒。大阪大学歯学部小児歯科学科を経て、84年より岡山学院大学部・歯学部附属病院小児歯科講師を務める。2013年に岡山大学を早期退職し、国立モンゴル医科大学歯学部客員教授ん就任。専門は、小児歯科、障害児歯科、健康教育。著書に「カミカミ健康学 ひとくち30回で107さい」(少年写真新聞社)「カムカム大百科 歯科医から見た食育ワンダーランド」(東山書房)など
  • 2022年05月26日 17時32分更新
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