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【免疫力UP情報】お口から考える食育⑤

【免疫力UP情報】
過去のむすび誌や正食出版発行書籍から抜粋してご紹介致します。
第26弾は「むすび誌2016年10月号」よりお口から考える食育の記事をご紹介します。(全12回)。
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子どもも気をつけたい睡眠時無呼吸症

歯茎の出た子役が多い理由は
 最近、テレビドラマに出てくる子役たちの口を見て、気づいたことはありませんか。そうです、口を開いたときに上の歯茎が目立つ子が多いのです。
 歯茎が出ている子は、口を一文字に結んで「いー」したときに、上の前歯が下の前歯に被さるように前に出て、下の前歯が少ししか見えないか、まったく隠れて見えません。噛み合わせが深い過蓋咬合と呼ばれる状態です。
 岡崎さんは、「歯茎が出てる人は、これからものすごく増えてきます。実は見栄えだけの問題じゃなくて、(健康にも)よくないのです」と警告します。
 歯学部の学生時代、上下の前歯の先端同士が当たっているのがいい噛み合わせだと、岡崎さんは教えられました。「先っぽ同士が当たっているときは、(乳歯の間の)隙間が空いていて、(永久歯が)きれいに生えてきました」
 ところが現在は、「隙間がないだけではなく、四?五歳児だったら、だいたい三分の二までは下の前歯が隠れている」とういくらい、過蓋咬合が増えています。
 「先っぽ同士が当たらないと、上の歯が伸び、歯茎も伸びて、下に降りてきます。だから歯茎が見えているんだと思います」

ポカンと口を開けた子どもも
 障害児の歯を専門に診て来た岡崎さんが過蓋咬合に出会ったのは、生まれたときからずっと経管栄養で育った四歳児でした。
 「口から食べたことのない子どもたちは、下の前歯がまったく見えません。以前は、これは障害があるから、口から食べたことがないから、と思っていましたが、それに近い子どもが(健常児でも)出てきてるということです」
 また、ダウン症の子どもたちはほとんどが口が開いていますが、岡崎さんによると、それは「筋肉の力が弱いため」です。
 ところが、ダウン症でなくても、ポカンと口を開けたままの子どもたちを見つけることは、そんなに難しくはありません。
 過蓋咬合にしろ、ポカンと開いた口にしろ、以前は主に障害児に見られたものが、ふつうの健常児にも広がってきたのです。
 「今の子どもたちは、本来口の機能が発達すべきところまで発達してないのでは」と、岡崎さんは考えるようになりました。
 しかし、話はそれだけでは終わりません。

高血圧や事故も招く無呼吸症
 上の写真は、前歯の先端同士が当たる切端咬合(左)と過蓋咬合(右)の人のレントゲン写真です。
 気道の幅(大きさ)を示す赤色の矢印が、切端咬合では長く、過蓋咬合では短いことがわかります。これは、切端咬合では口の中の舌が前に来て気道が広くなりやすく、過蓋咬合では下の歯が後ろにあるぶん、舌も後ろに来て気道が狭くなっているためです。
 「気道が狭いと、酸素が十分に肺にいきにくいということが考えられます。こういうことが将来、いろんな問題をもたらすんじゃないかなと思います」
 そう前置きして岡崎さんが話し始めたのが、閉塞性睡眠時無呼吸症でした。
 眠っているときに呼吸がたびたび止まる睡眠時無呼吸症の多くは、舌の筋肉が緩んで気道をふさぐために起きます。
 中には七時間余りの睡眠中、五時間半も呼吸が止まる人もいるようです。眠っている間じゅうずっと自分で首を絞め続け、我慢できなくなってやっと息をするということを繰り返しているような、異常な状態です。
 舌が肥大した肥満の人や、あごが小さい人などがかかりやすい病気といわれます。あごが小さいと、舌が後ろにあって、気道をふさぎやすいからです。
 岡崎さんは、睡眠時無呼吸症が高血圧や心疾患の原因にもなるほか、夜間に十分な睡眠が確保できないぶん、本来緊張しないといけない昼間の就業時などに瞬間的に眠り込んでしまい、ときに大きな事故につながる危険性があると解説しました。
 例えば、睡眠時無呼吸症の人は、そうでない人に比べ、交通事故を起こす確率が六倍も高いという調査結果があるそうです。

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岡崎好秀(おかざき・よしひで)
1952年大阪生まれ。愛知学院大学歯学部卒。大阪大学歯学部小児歯科学科を経て、84年より岡山学院大学部・歯学部附属病院小児歯科講師を務める。2013年に岡山大学を早期退職し、国立モンゴル医科大学歯学部客員教授ん就任。専門は、小児歯科、障害児歯科、健康教育。著書に「カミカミ健康学 ひとくち30回で107さい」(少年写真新聞社)「カムカム大百科 歯科医から見た食育ワンダーランド」(東山書房)など
  • 2022年07月30日 16時31分更新
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