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【免疫力UP情報】お口から考える食育⑦

【免疫力UP情報】
過去のむすび誌や正食出版発行書籍から抜粋してご紹介致します。
第26弾は「むすび誌2016年10月号」よりお口から考える食育の記事をご紹介します。(全12回)。
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唾液の分泌を減らす「流し込み食べ」

牛乳つきの学校給食が原因か
 小児歯科医にとって苦手なこと。一つは前述した子どもの「泣き」、そしてもう一つは子どもの唾液です。
 唾液のもつさまざまな効用については、次で詳しくみていきますが、岡崎さんは、あふれ返るように出てくる子どもの唾液に悩まされながら、苦労して治療にあたった体験を語りました。
 ところが、最近の歯の診療は「楽になった」というのです。以前に比べて唾液の分泌量が減り、口の中にたまらなくなったのです。
 唾液が出なくなった原因として岡崎さんが考えるのが、食事のときに飲みものを口にしながら食べる「流し込み食べ」です。
 「口から飲みものを流し込むと、人間のからだは唾液がすっとなくなるようにできています。だからどんどん唾液が出なくなってきているのでは」
 さらに、流し込み食べが増えた背景には、牛乳がつきものの学校給食の普及が関係していると推測しています。
 つまり、牛乳がついた学校給食を食べ続けてきた世代が親になり、子どもたちの食事のときにも「飲みものが必要だ」として、それが習慣化したため、流し込み食べをする子が増えてきたのではないか、というわけです。

食事中に牛乳を控える方法も
 流し込み食べを招いたとも考えられる学校給食について、岡崎さんは二つの対照的な実例を示しました。
 下の写真のうち、左の学校給食は、牛乳にパン、チーズ、そして手前にあるのはリゾットです。その上の副食は材料が細かく切ってあり、「丸飲みや流し込み食べを助長するような食べもの」と岡崎さん。
 これに対し、高知県内のある学校の給食(右)は、牛乳はありますが、子どもがかぶりついて食べるようなアマゴが丸ごと一匹、その横にはスティック状に大きく切った野菜、具だくさんの味噌汁、玄米、皮つきのリンゴと、よく噛んで味わって食べることのできるメニューです。「こういう食事がいい」
 また岡崎さんは、学校給食につきものの牛乳について、流し込み食べを防ぐための方法として、愛媛県内で食育教育の推進指定校にされたある学校で実践した取り組みを紹介しました。
 「いただきますと言ったら、最初の一口だけ牛乳を飲んで、すぐに(瓶の)ふたを閉めます。そして全部を食べたあとで、最後に牛乳を飲む。それだけで噛む回数はぐっと増えます。これもぜひ覚えておいてほしい」

味噌汁は流し込みできない
 「学校給食の牛乳が問題なら、家庭の食卓でもお茶や味噌汁があるではないか」という反論が聞こえてきそうですが、流し込み食べを防ぐ牛乳の飲み方と同じように、お茶は食事中にすするものではなく、もともと食事が終わったあとの団らんの場でゆっくり楽しむものでした。
 そして、具のある味噌汁は噛まないといけず、流し込み食べにはつながりません。「とくに具を大きくすれば、流し込みできません」と岡崎さん。

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岡崎好秀(おかざき・よしひで)
1952年大阪生まれ。愛知学院大学歯学部卒。大阪大学歯学部小児歯科学科を経て、84年より岡山学院大学部・歯学部附属病院小児歯科講師を務める。2013年に岡山大学を早期退職し、国立モンゴル医科大学歯学部客員教授ん就任。専門は、小児歯科、障害児歯科、健康教育。著書に「カミカミ健康学 ひとくち30回で107さい」(少年写真新聞社)「カムカム大百科 歯科医から見た食育ワンダーランド」(東山書房)など
  • 2022年08月29日 17時28分更新
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