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【免疫力UP情報】心の力が 医療を変える③

【免疫力UP情報】
過去のむすび誌や正食出版発行書籍から抜粋してご紹介致します。
第27弾は「むすび誌2015年12月号」より心の力が医療を変えるの記事をご紹介します。(全12回)。
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病気を人生の課題に取り組むチャンスに

同じ治療でがんが消える一方急死する人がいるのはなぜか
 サイモントン療法というのは、米国の放射線腫瘍医で心理社会腫瘍医のカール・サイモントン博士が考案した、がん患者や家族のための心理療法です。放射線腫瘍医とはあまり聞きなれませんが、「物理療法をするがんの専門医」(川畑さん)です。
 博士が独自の心理療法を確立する経緯について、川畑さんは次のように解説しました。
 1960年代、当時研修医だった博士は、同じ診断が下された同世代の患者たちが、同じ治療が施されたにもかかわらず、がんが退縮したり消失したりする一方、長期生存率が高いとされたにもかかわらず急死したりと、ときには矛盾したケースがあることを目の当たりにしました。
 どうしてそのような違いが出るのか―。患者を観察した博士は、希望や生きがいをもって治療や人生に取り組む人たちは経過が良好であることが多く、逆に絶望感にさいなまれながら取り組んでいる人たちは経過が好ましくない傾向があることに気づきました。
 患者の人生や病気への態度(心のありよう)が予後に違いを生み出すことに着眼した博士は、どのように患者の希望をサポートするか、またそれと同時に執着を手放し、しなやかに人生を乗り越えていくかということをテーマに、がん患者や家族のための心理療法を確立していきました。

治療を見放された患者のがん 心理療法で副作用なく消失
 ところが、同僚や上司の医師らから「やたらに患者や家族に希望を抱かせてはいけない」という忠告を受けます。
 悩んだ博士がウェブスター大辞典で「希望」の意味を調べると、最初に「希望とは、可能性の隔たりにかかわらず、得たい結果が得られると信じる、その信念」とありました。
 「科学的、医学的に確率が高いことを信じること、とは書いてなかった。これを健康と病気の分野にあてはめてみると、希望とは、どんなに病状が悪くても、どんなに医学的な確率や統計が低くても、自分は健康に生きることは可能である、あるいは、どんなにがんがひどくても幸せに生きることは可能であるということです」と川畑さん。
 その希望の定義に力を得て、博士はさまざまなメンタルケアの研究も重ねて、独自の心理療法による患者の第一号を迎えます。
 いわゆる三大療法による治療に耐えられない、余命一?二か月といわれた六〇代のがん患者に対し、博士は心理療法による治療を提案しました。
 たまたま東洋哲学に精通し、「心と体は密接だと信じている」という患者にとっては、歓迎すべき治療でした。
 心理療法とともに、それまで「無理だ」と思われていた放射線治療も同時に行った結果、何も食べられなかったのが二週間後には食べられるようになり、四週間後にはがんが消失しました。
 博士は、がんの消失はもちろんのこと、弱った患者に高線量の放射線治療をしたにもかかわらず、副作用がまったく出なかったことに、目をみはったのでした。
 がんの自然寛解や自然治癒という実例はあり、その患者がそうだったのか、あるいは放射線治療が功を奏したのかもわかりませんが、それほど弱っていた患者への放射線治療で副作用が皆無だった例は、ほかになかったからでした。

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川畑のぶこ(かわばた・のぶこ)
通訳の仕事をとおしてサイモントン療法と出会い、2002年にNPO法人サイモントンジャパン(現NPO法人サイモントン療法協会)を設立、現在は副理事長を務める。がん患者や家族向けのプログラムの指導や各地でセラピスト養成指導、心理療法としての断捨離の啓発活動などを行っている。
  • 2022年12月16日 17時06分更新
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