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【免疫力UP情報】香害と身近な化学物質④

【免疫力UP情報】
過去のむすび誌や正食出版発行書籍から抜粋してご紹介致します。
第28弾は「むすび誌2019年12月号」より香害と身近な化学物質の記事をご紹介します。(全6回)。
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あふれる化学物質

化学物質は外的因子の一つ
 化学物質自体は決して悪者ではなく、その恩恵を受けて快適で便利な生活を享受できていることを忘れてはいけません。ただし、便利な半面、思わぬ落とし穴があることも確かです。
 化学物質が心身にどのように作用するのか。同じく角田さんに続いて講演した、国立環境研究所の環境リスク・健康研究センター病態分子解析研究室室長で博士(医学)の小池英子さんの話を紹介します。
 環境中の汚染物質による健康影響について、リスク評価の研究をしている小池さんによると、健康にかかわる要因は大きく内的因子と外的因子(環境因子)に分けられます。 
内的因子には、性別や年齢などの不変的因子、運動不足や肥満などの可変的因子、そして衛生や教育などの社会的因子があります。
 外的因子には、病原微生物やアレルゲン(花粉、ダニ、カビ、ペットの毛など)の生物的因子、気温や湿度、気圧、音、電磁波などの物理的因子があり、化学物質は環境汚染物質や食品添加物、喫煙などの化学的因子に含まれます。
 「病気は、疾患関連遺伝子(がんなどの疾患発症に関連する遺伝子)とさまざまな内的・外的因子によって規定されます」と小池さん。

人体の生体防御機構がカギ
 環境中の化学物質は、空気を介して吸い込んだり、食品に移行して口から取り込んだり、皮膚から吸収されるなどして、体内に摂取されます。
 「しかし化学物質に曝露されたからといって、すぐに病気になるわけではありません」(小池さん)
 人体にはさまざまな生体防御機構があり、それらが正常に作動すれば適応して健康な状態が維持されます。
 病気になるときは、その生体防御機構のどれかが破綻したり、許容量を超えたり、脆弱な時期だったりそうした部分があると、急性・慢性の健康障害が現れてきます。
 化学物質の曝露による影響については右ページの図のようなことが懸念されています。とくに心配されるのが、生体防御機構の未熟な子どもたちです。

代替物質も懸念される
 小池さんは講演で、主にビスフェノールAの影響について報告しました。
 20年ほど前、内分泌かく乱物質が世界的に大きな社会問題になりました。中でも、ポリカーボネート樹脂やエポキシ樹脂の原材料として広く使われてきたビスフェノールAは、エストロゲン様作用などを示す内分泌かく乱物質として、生殖や中枢神経、代謝・内分泌系への影響が取りざたされてきました。
 小池さんによると、近年ではそれらに加え、免疫系への影響が指摘されています。
 ビスフェノールAは主に、プラスチック製容器から溶出して食品に移行したものを取り込む経口曝露によって摂取されます。
 極低容量でも毒性が強いことから規制が進み、国内でのポリカーボネート製の哺乳瓶や食器の製造・販売はほとんどなくなっています。
 ところが、小池さんによると「人の血液中の半減期が5時間程度で、蓄積性はほとんどない」はずのビスフェノールAが、かなり低減されたものの、一般の人からもコンスタントに検出されるというのです。
 経口曝露以外に、さまざまなプラスチック製品に利用されていることから、ほこりとして吸い込んだりすることなどが影響しているようです。
 ビスフェノールAに代わり、近年ではビスフェノールSが使われるようになってきましたが、小池さんは「これはこれで問題があるのではと懸念されます」。
 「とくに日本人は、ほかのアジアの国やアメリカなどと比べてもビスフェノールSの暴露量が高い」ということで、評価が十分に行われていないまま代替物質の利用が拡大する状況に顔を曇らせました。

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  • 2023年07月20日 15時10分更新
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