長野市の善光寺そばにある、味噌と醤油の製造販売を手がける三原屋と6代目当主の河原さん。同社は180年の歴史を誇り、醸造蔵は国の登録有形文化財になっている。
明治時代の作家で思想家の徳富(とくとみ)蘆(ろ)花(か)は「人は土の上に生まれ、土の生むものを食って生き、而(しこう)して死んで土になる。我らは畢(ひっきょう)竟(ひっきょう)土の化物である」と論じています。
まさにそれは、マクロビオティックをはじめ食養の世界でよく使われてきた身土不二(ふじ)の考え方そのものです。
食養でいう身土不二とは、人間のからだ=「身」と、住んでいる地域=「土」とは、二つに分かれているのではなく、切っても切れない一体の関係=「不二」のものである、ということが基本になっています。
およそ地球上の生物は、身近な周りのものを食べて生きています。私たちの祖先もそうして長い間生き長らえてきました。身土不二は生きものの自然の摂理といっていいかもしれません。
そうした身土不二の思想から、住んでいる地域の三里(12キロメートル)四方、あるいは四里(16キロメートル)四方でできる旬のものを食べていれば、自然に即した健康的な生活を送ることができるという知恵にもつながりました。新しいところでは、「地産地消」という言葉にも通じるものがあります。
もともと身土不二は、仏教用語の身土不二(ふに)からきたものです。仏教でいう「土」とは、浄土や冥土などでも使われるように、社会全体や世の中を指しています。
いずれにしても、人はだれもが、自分以外の他者と無関係ではいられないものなのだ、ということであり、とくに食べることは周りの人たちや自然環境と密接にかかわっています。
一方、私たちは、「身」の中にすでにおびただしいほどの数の他者と共生していることがわかってきました。それは皮膚の表面にいる常在細菌や腸内細菌といわれる微生物たちです。
そんな微生物たちと日々、身近に接している味噌屋の河原清隆さんに、微生物の世界からとらえた身土不二の意義について、いろいろと興味深いお話をうかがいました。
【免疫力UP情報】微生物から考える身土不二②へ