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【免疫力UP情報】微生物から考える身土不二③

【免疫力UP情報】
過去のむすび誌や正食出版発行書籍から抜粋してご紹介致します。
第31弾は「むすび誌2018年12月号」より微生物から考える身土不二の記事をご紹介します。(全4回)。
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微生物と共生し生かされている

大切な腸内細菌のバランス

 クローズドシステムによる加工食品の「袋の味」か、手づくり料理によるオープンシステムの「お袋の味」か。

 クローズドシステムでつくられた加工食品を日常的に食べることによりもたらされた弊害。その一つが、喘(ぜん)息やアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎といったアレルギー疾患の増加だと、河原さんは考えています。

 脂肪分が多く食物繊維の少ないファストフードを食べ続けると、わずか一週間で腸内細菌の数だけでなく種類も激減し、お花畑にもたとえられる腸内細菌叢(そう)(フローラ)が多様性を失って、砂漠化することが知られています。

 抗生物質を多用することでも、腸内細菌はダメージを受けます。

 それらが原因で腸内細菌が少なくなって砂漠化すると、免疫細胞が暴走して、正常な細胞を攻撃してしまい、肥満やアレルギー疾患など、さまざまな症状を引き起こしやすくなるともいわれます。

 そうしたことから、腸内細菌のバランスが大事といわれるわけですが、河原さんは腸内細菌

だけでなく、土壌や空気中にごくありふれた微生物、それも生きている微生物ではなく、分解物となって存在する微生物が、人間の免疫機能を高めて健康維持に役立っていると考えています。

 

アレルギー少ないモンゴル

 1989年、のちのドイツ統一につながった歴史的な出来事がありました。ベルリンの壁の崩壊です。

 統一後、旧西ドイツと旧東ドイツのアレルギー疾患の発生を比較する疫学調査が行われました。

 先進国だった旧西ドイツに比べ、衛生状態のよくない旧東ドイツの方が、アレルギー疾患の患者が多いだろうと当初は思われましたが、実際は逆で、旧西ドイツの方が患者数は上回っていました。

 さらに、家畜を飼っている農家の子どもほど、アレルギー疾患が少ないこともわかりました。

 例えば、アレルギー疾患がもっとも少ない国の一つのモンゴルでは、遊牧民が家畜を飼い、乾燥した家畜のふんを燃料に使用しています。

 旧東ドイツとモンゴルでは、人びとは微生物やその分解物を身近でふんだんに接する環境で暮らしていたのです。

 

昔の味噌が自然免疫を強化

 ベルリンの壁崩壊と同じ年、衛生環境が向上して感染症にかかりにくくなるとアレルギー疾患が増加するという「衛生仮説」が発表されました。

 その後、ノーベル賞に輝いた研究で、微生物の分解物であるLPS(リポ多糖)と呼ばれる物質が、人体の粘膜に信号を送り、免疫細胞の暴走を抑えている自然免疫の仕組みがわかりました。

 「免疫ビタミン」ともいわれるLPSですが、味噌などの伝統的な発酵食品にも豊富に含まれ、それが日本人の健康維持に寄与してきたと、河原さんは考えています。

 「味噌や漬物などの発酵食品の中に微生物の分解物が入っていて、それらを食べることによって日本人は免疫細胞のバランスをとっていたのでは」

 もちろん私たちの手にもたくさんの微生物やLPSがついています。しかも、その微生物の種類は人それぞれで、同じ人の右手と左手とでも違うらしいのです。

 手にどんな微生物がいるのかは、肉眼で見えないので実感しにくいと思いますが、河原さんは子どもの頃、生味噌を冷やごはんのむすびに塗っただけの「味噌むすび」の味を思い出しました。

 「祖母が握ったおむすびと母親が握ったおむすびは、なぜ味が違うのだろう」と、子供心に不思議に感じたそうです。それはおむすびを握った祖母と母親の手のひらにいた微生物の種類の違いによるものだったのかもしれません。


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  • 2024年03月07日 16時43分更新
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