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【免疫力UP情報】オールアバウト塩⑧

【免疫力UP情報】
過去のむすび誌や正食出版発行書籍から抜粋してご紹介致します。
第32弾は「むすび誌2016年3月号」よりオールアバウト塩の記事をご紹介します。(全10回)。
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2千年続く伊勢神宮の伝統技

粗塩を溶けにくい焼き塩に

 平成14年(2002年)、一世紀近く続いた塩専売に終止符が打たれ、塩の生産などが完全自由化になるまで、国内でつくられていた塩は、寺田さんによると四種類でした。

 イオン交換膜式の塩、伊勢神宮の塩、朝ドラにも出てきた石川・能登の揚浜式の塩、そして日本食用塩研究会(海の精)の塩。

 伊勢神宮の御塩(みしお)殿(どの)の神社では、五十鈴川の河口近くの入浜式塩田でつくったかん水を煮詰めて粗塩をつくり、それをつぼに入れて焼き固めます。

 実は、粗塩に含まれるニガリ主成分の塩化マグネシウムは、空気中の水分を吸って溶け出す性質があります。

 それを防ぐには、ニガリをなくして高純度の塩化ナトリウムにするか、高温で焼きます。六〇〇度ぐらいに熱すると、塩化マグネシウムは、湿気にくい酸化マグネシウムに変わります。

 「伊勢神宮では、つぼに入れて焼くということを二〇〇〇年ぐらい前からやっています。揚浜式もそうですが、入浜式でつくった塩は、梅雨時や台風が来たりとか、雨の多いときは溶けてしまいます。それを防ぐにはつぼに入れて焼くんだということを、やっぱり古代の人はわかってたんですね」

 寺田さんたちは、御塩殿神社のやり方を参考にして、焼き塩づくりを研究しました。その結果としてできたのが、「海の精やきしお」でした。

 また、能登の揚浜式塩田は、観光用塩田として残っていました。できた塩は、昆布を入れて、塩ではなく、昆布の塩蔵品として販売されたようです。

醸造食品に欠かせないニガリ

韓国からキムチ団体が視察 

 講義では、参加者から寄せられた質問にも答えていただきました。

 まず「ニガリを摂るとからだが固まるのか」。

 答えは「固まりません」。豆腐づくりからきた誤解のようですが、豆腐もニガリを加えて七〇度以上に温めないと固まりません。

 ニガリについては、「腸などからだの中でいろんなはたらきをしていて、(主成分である)マグネシウムが不足すると、からだの生理的な機能が失われていくこともあるので、適度な量は絶対に必要だと思います」ということでした。

 また、「日本の醸造食品は、ニガリ分のない塩ではつくれません」ということで、酵母にとっては、餌となるミネラルの多い塩の方が好ましいそうです。

 実際、ある醸造メーカーの話では、「純度の高い塩を使ったときと比べると、海の精を使った方が、コポコポという発酵時の音が元気に聞こえる」ということでした。

 さらに、韓国のキムチづくりの団体が「キムチがおいしくなくなったのは、韓国で高純度の塩が多くなり、うまく発酵しなくなったせい。塩づくりを教えてほしい」と訪ねてきたこともあったそうです。

 ただし、「ニガリを過剰に摂ると下痢をすることもあるので、注意をしてほしい」とつけ加えました。

 ニガリには、結晶で残っているものと、液体の状態で残っているものの二種類があり、とくに対になるカルシウムとマグネシウムなど、商品化にあたっては、ミネラルのバランスをどう取るかに苦労があるようです。

 「私たちは伝統製法でやっていますが、いちばん危険な落とし穴は、勘に頼るようになることです。自然のつくり方だから、俺がつくっているから、もう何十年もやってるから、というかたちになると、一番よくないです。外部的な分析、客観性をもたないとダメです」

 

ベジタリアンは減塩に注意を

失われるナトリウムを補う

 「日本人に海塩が合うなら、欧米人はどうか」という質問もありました。

 寺田さんは、軟水の多い日本に対して、欧米ではカルシウムなどミネラルの多い硬水が主なので、「(岩塩など)純度が高い塩でも、肉食とか水で(ミネラルを)補うということがあると思います」と話しました。

 「日本の場合は逆に、ベジタリアンで減塩するというのが一番いけないですね。カリウムとナトリウムは拮抗してはたらきますから、(野菜中心で)カリウムばかり摂ると、からだの中のナトリウムが出ていってしまいます。そこでさらに減塩すると、それこそふにゃふにゃになって、元気が出ないということが起こります。だから、日本人こそ、ミネラルバランスのいい塩を、とくにベジタリアンで野菜中心の食生活だったら、きちっと摂ることが必要です」

 「減塩の風潮に対してどう対応しているのか」という問いかけには、あっさりと「なすすべがありません」と答えました。

 「みなさんのお力を借りたいくらいです」と呼びかけたあと、塩が高血圧の犯人のようにみなされていることについては、世界的な疫学調査でも塩分摂取と高血圧の因果関係がはっきりしなかったこと、高血圧の最大の原因は肥満とされていること、運動量などの個人差が無視されて摂取量の目標値が設定されていること-などの問題点を挙げました。

塩を直接なめて味わうより

料理で使って判断するように

 フランスのブルターニュ地方の塩田でつくられる「ゲランドの塩」については、「海外の天日塩の中で、比較的ミネラルの豊富な塩」ということでした。

 ゲランドは企業名などではなく、昔から塩づくりの盛んだった土地の名称です。きつい仕事だとして敬遠されてきた塩づくりを、若者たちが手助けをして、世界的なブランドに

まで育てました。

 塩が灰色がかっているのは、泥が混じっているせいらしいですが、人体にはとくに問題はないようです。

 ほか寺田さんは、福島原発の事故を受け、全商品を対象に定期的に放射能測定をしてホームページでも公表しているが、すべて「不検出」であること、塩の結晶が大きいほど甘く感じやすいことなどを説明しました。

 塩選びについては、「塩をなめて『おいしい』ということではなくて、やはり料理に適量を入れて、深みが出たりするものなので、自分で考えて使って下さい」ということでした。

 

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  • 2024年10月19日 17時34分更新
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