加工食品の隠れナトリウム
塩分以上に気をつけたいのが、主に加工食品や冷凍食品に多く含まれるナトリウムです。
食塩以外のナトリウム化合物として、化学調味料のグルタミン酸ナトリウムやイノシン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸ナトリウムなどがあります。
食品表示をチェックしておかないと、加工食品ばかりに頼っていては、知らない間にナトリウム過剰になってしまいます。「隠れナトリウム」といわれるゆえんです。
また、「減塩」をうたった食品には、塩分を減らした代わりに、食品添加物や塩化カリウムなどを加えたものがあります。
塩化カリウムは、大量に摂取すると高カリウム血症を起こす危険性があります。
「添加物の神様」の異名をとり、塩づくりにもかかわった食品ジャーナリストの安部司さんは、「やはり家庭で使うなら伝統的なやり方でこしらえた、にがりを程よく含む海水塩がお薦めです」と書いています(2015年10月7日付西日本新聞)。
「高そうに見えても、使う量はほんの少しなのが塩。高いお金を出してサプリメントを買うぐらいなら、日常的に使う塩にお金をかけた方が賢いと思いますがね」(同)。
料理で使うには…
【洗う】枝豆やイチゴの表面に塩をまぶしてもむと、汚れが取れる。魚介類のヌメリや臭みも取れる。
酢に塩を加えて銅鍋を磨くとピカピカになる
【浸ける】皮をむいたジャガイモやリンゴなどを塩水につけると、酸化や変色を防ぐ
【振る】魚を焼く10分ほど前に塩を振ると、身がまる
【ゆでる】沸騰した湯1リットルに塩大さじ1杯が目安。ホウレンソウや小松菜などは色鮮やかにゆで上がる。サトイモのヌメリが取れる(下処理で)
参考:「塩とニガリがよくわかる本」(玉井恵著、東京書籍)
塩を使い分けるには…
【パウダー状の塩】油に混ざりやすく、ドレッシングづくりや天ぷらのつけ塩などに。湿気やすいので注意を。また、ニガリの主成分であるマグネシウムの含有率が高いので、皮に苦味成分のあるキュウリやゴーヤはさらに苦くなることも
【細かい粒の塩】溶けやすいので、洗う、ゆでる、パンづくりなど、下処理に。白菜などの塩漬けや浅漬けにも
【中くらいの粒の塩】枝豆や冷やしたトマト、スイカなどに向いている
【大きめの粒の塩】口に含むと、結晶がゆっくりと溶け出すため、ナトリウムの塩味のほか、複雑な味が絡み合ってうまみが増す。酒のつまみ、塩おにぎりなどに
参考:「塩とニガリがよくわかる本」
塩の主な効用
・体液の浸透圧を維持する
・血液の酸性とアルカリ性のバランスを保つ
・胃液の主成分である塩酸の元になる
・神経細胞の活性にかかわる
・炭水化物やタンパク質などが腸の粘膜から吸収
されるのを助ける
・食欲や意欲を増進させる
・発汗作用をうながし、熱中症を予防・治療する
・活性酸素が過剰にならないよう抑制する
参考:「おもしろサイエンス 塩と砂糖と食品保存の科学」
(食品保存と生活研究会編著、日刊工業新聞社)